家族信託

近年、日本は『少子高齢化社会』と言われて久しいですが、下記は、認知症の年齢別罹患率のグラフです。

一目瞭然ですが、加齢とともに、認知症に罹患する確率は加速度的に上昇します。



日本の金融資産、不動産を保有しているのは、その大部分が高齢者です。

しかし、高齢者は認知症に罹患すると、その資産、不動産の処分能力を喪失します。

言い換えれば「売買契約の能力を喪失」するわけです。

 

また、銀行などで、認知症高齢者の預貯金を引き出そうとしても、銀行側はご本人の預貯金引き出し意思が確認できない限りは、引き出しに応じません。

これは、「預貯金の引き出し行為」というものが、法律的には、「預貯金の払い出し請求権の行使」に他ならないからです。

 

権利の行使ですので、その行使については、意思能力(=判断能力)が必要とされます。

しかし、認知症患者は、その意思能力を喪失しているからこそ、認知症と診断されている状態なわけです。

 

したがって、このように、財産の名義人が認知症に罹患すると、その財産の凍結を意味することになります。

 

日常生活において特に使用しない預貯金であれば凍結されてしまっても実害はないかもしれません。

 

しかし、凍結されると非常に困る財産も当然に存在します。

 

一番の最たる例は、事業資金、事業用不動産です。

 

これらの名義人が認知症になり凍結されてしまうと、事業そのものが立ち行かなくなります。

 

たとえば、事業資金の借入れを行う際に、不動産へ銀行が担保設定しようとしたとき、不動産名義人が認知症の場合は、抵当権設定契約を有効に成立させることができません。つまりは不動産担保が不可能なため、融資の審査がおりなくなるという事態につながるわけです。

そこで、このような場合に、最も効果のある対策が、家族信託です。

 

家族信託とは、財産の名義人ご本人がお元気なうちに、信頼できる人(一般的にはご家族)に、財産の管理処分権を託すという仕組みを使った契約です。

 

財産の管理処分を託された人を受託者と言いますが、家族信託契約以降は、受託者がその財産の管理処分を行いますので、元々の名義人たるご本人が将来認知症になったとしても、財産が凍結される恐れがありません

 

また、家族信託では、将来の遺産の承継順を決定しておくことができるほか、倒産隔離機能定期給付機能など様々な機能があります。

 

この家族信託は、かなり柔軟に設計できる仕組みになっていますので、ご依頼者ごとの実情に合わせたスキームを構築することが可能です。

 


手続きの報酬(料金)については【こちら】をご覧ください。