成年後見制度とは、精神上の障害(認知証、知的障害、精神障害など)により、意思能力、判断能力(以下「意思能力等」という)が十分でない人のため、家庭裁判所で代理人を選任してもらい、以後、その代理人がご本人に替わって、財産管理や法律行為(契約など)をおこなうという制度です。この代理人のことを「成年後見人」といい、これが「法定後見」です。
なお、成年後見制度においては、意思能力の状態に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」という3類型がありますが、ここでは、説明をわかりやすくするために、「後見」についてご説明します。
また、身寄りのない人が、自分の将来の老後に備えて、あらかじめ、自分の財産管理や、自分に関する各種契約(施設入所契約など)の代理人を選んでおくという「任意後見契約」という方法もあります。
契約などの法律行為をするには、意思能力等が必要です。
これらの能力が不足するときは、契約の意味を理解できないということであり、すなわち契約を成立させる能力が欠如しているということになるからです。
「契約」というと、不動産の売買契約を思い浮かべる人が多いと思いますが、契約はそれだけではありません。
実は日常生活の中でも、私たちは契約に囲まれて生活しています。
たとえば、コンビニでの買い物は「売買契約」、電車に乗るのは「運送契約」という契約の一種です。
このように、私たちは契約社会で生きていると言ってもよいのですが、日常生活での上記のような契約に関しては、厳格に意思能力等を要求されません。
(法学的にいえば、意思能力等は本来必要ですが、実務上そこまで厳格な取扱いはしないということです。したがって、日常生活においては、「あなたは意思能力が不十分だから、電車に乗ってはいけない」などということはないのです。 )
しかし、ご本人に重大な影響を及ぼす一定の契約行為では、厳格な意思能力等が必要とされます。
たとえば、「ご本人の施設入所費用を支払うために、ご本人の定期預金を解約したい」と、ご家族がお考えのとき。
銀行では、たとえご家族であっても、ご本人以外の人による定期預金の解約には応じてくれません。
そして、ご本人を銀行窓口までお連れしたとしても、銀行側が「ご本人の意思能力が不十分である」と判断したときはやはり解約に応じてくれません。
これは、別に銀行がいじわるだからというわけではありません。
法学的に、意思能力が不十分な人が解約請求という契約行為をおこなうことは、その契約行為の無効を意味します。
このため、もし将来、ご本人の別の親族(たとえば相続人)から「意思能力が不足している状態でおこなった解約請求は無効である」と訴えられたときに、銀行側は敗訴してしまうため、銀行側としても、法学的に有効な解約請求でない限り、応じたくても応じることができないのです。
このようなときに成年後見制度を利用すれば、法律的に有効な解約請求を行うことができるのです。
(ただし、ご本人の定期預金ですから、解約した金銭はご本人のために利用する目的に限ります)
成年後見制度の利用の主な契機
後見制度を利用される方の、主な契機は次のとおりです。
1.預貯金の高額払い出し
2.不動産の売買
3.身寄りのない人の財産管理
4.遺産分割
上記1から3は、厳格な意思能力等が必要とされるケース。
上記4は、実質的な財産管理代理人が必要なケースです。
当事務所では、成年後見制度に関して、次のサポートをご用意しております。
【成年後見の申立サポート】
成年後見の申立では、添付すべき書類が多く、非常に複雑です。
また事案に応じた専門知識が必要であったり、家庭裁判所との打合せが必要であったりと、相当の労力、知識、時間を要します。
当事務所では、申立書の作成、財産目録、収支予定表などの添付書類の作成、申立代行、家庭裁判所での審尋の同行といったサポートをさせていただきます。
ご希望に応じて、戸籍、不動産資料など必要書類の収集代行もお受けしております。
手続きの報酬(料金)については【こちら】をご覧ください。